プロ野球巨人の会長、渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長(79)が1日、毎日新聞のインタビューに応じ、球界を揺るがしている球団親会社の株式買収問題に関して、否定的な考えを示した。昨年巨人オーナーを辞任した渡辺会長は、球界の実力者として発言力を維持しており、4日の12球団オーナー会議に及ぼす影響が注目される。
◇本社インタビューに応じる
渡辺会長はインターネット商店街最大手の楽天(三木谷浩史社長)が、TBSに経営統合を提案しながら株を買い増していることについて「楽天がやっていることは実質的に敵対的買収になる」と語るとともに、「このまま解決が長引けば、楽天は資金的な負担が重くなり不利になる。名誉ある撤退をするかわからないが、TBSが楽天の軍門に降ることはないと思う」との見通しを語った。
渡辺会長は、楽天がTBSの筆頭株主になったことを発表した前日の先月12日、三木谷社長が東京都千代田区の読売新聞東京本社に渡辺会長を訪ね、TBS株を15.46%取得したことを伝えたと明らかにした。この際、三木谷社長は「(経営統合しても)球団は二つ持たず横浜ベイスターズは売却する。売却先は一部上場の会社だ」と話したという。
阪神電鉄株を大量取得した村上世彰氏率いる投資ファンド「村上ファンド」が、阪神球団の株式上場を求めている問題に関しては、野球協約に球団の上場禁止規定を盛り込むべきだという考えを示した。上場した場合、暴力団関与の危険性があることなどの理由で反対を明言し「少なくとも9球団は同意見」と語った。
また、インターネット関連企業のライブドア、堀江貴文社長が広島カープの買収を狙っているとされる件について、9月の総選挙後、自民党の武部勤幹事長から電話で「堀江社長と会ってほしい」と依頼され、断ったことを明かした。
渡辺会長は「(広島の)松田元オーナーは売らないと話している」と述べたうえで、仮に堀江社長が広島を買収したとしても「昨年の新規参入審査で(球界が)拒否した人物。一事不再理だ」として球界参入はありえないとの考えを示した。