他国からの武力攻撃や大規模テロに備える国民保護法に基づき、住民が実際に避難する全国初の実動訓練(国、福井県など主催)が27日午前、福井県美浜町の関西電力美浜原発周辺で始まった。県が同法に基づいて策定した「国民保護計画」を踏まえ、住民避難の方法や関係機関の連携を確認するもので、同日夕まで行われ、同町3地区の住民約120人も避難訓練に参加予定。
同県は原発15基が集中立地し、さらに、日本海に面し不審船事件や北朝鮮による拉致被害があったという事情が考慮され実働訓練の場となった。
訓練は午前7時、「国籍不明のテロリストが陸上から迫撃砲を数分間撃ち込み、同原発2号機の一部が損傷した」との想定で開始。政府が「緊急対処事態」と認定。自衛隊の国民保護等派遣の決定などの手続きを確認した。
午後からは自衛隊や警察の車両が警備する中、チャーターした民間バスや海上保安庁の巡視船が、美浜町内の住民を最大約15キロ離れた避難所まで移送する予定。
国民保護法は各自治体に対し、住民の避難・誘導などのための国民保護計画を策定するよう義務づけている。政府は都道府県に対して今年度中の策定を求めており、7月に福井、鳥取両県の計画が完成し政府の承認を受けた。21都道府県が来年1月の完成・承認を目指しており、モデルケースとして学ぼうと全国から自治体関係者らも多数研修に訪れた。【平野光芳】