内閣や宮内庁のOBらによって皇室典範の改正を念頭にした極秘の検討会が、97年から開かれていたことが、政府関係者の証言などで24日明らかになった。メンバーは、内閣法制局や宮内庁、総理府(当時)の元幹部らで、天皇家の長女、紀宮さま(黒田清子さん)の即位のシミュレーションも行われた。政府関係者が皇位継承の危機的状態を背景に少なくとも8年も前から検討を始めていた実態が浮かんだ。
会合は特別研究会や懇話会などの名前で、OBを集めて行われ、当時、宮内庁の鎌倉節長官や古川貞二郎官房副長官、大森政輔内閣法制局長官ら現役の政府関係者も参加したこともあったという。97年4月から始まり、皇位継承制度を重要な課題と位置づけ、法律・政治・歴史などの研究者を集めて月1回程度の割合で開いていた。
大学教授らが資料を作成して持ち寄っての勉強会形式で、結果は、今回の有識者会議の資料としても活用された。有識者会議で座長代理を務めた元最高裁判事の園部逸夫氏も当時の研究者のメンバーの一人で、主に法律上の課題や法改正の方向をまとめる中心になっていたという。
皇太子妃雅子さまの懐妊などがあり、研究会は3年近く開かれなかった時期もあったが、03年春から内閣の官房・法制局、宮内庁が公式検討に向けて準備を始め、女性天皇の配偶者に関する項目など具体的検討に入った。関係者の一人は「皇室制度の改正は、天皇家に直接かかわる話で、性質上、細心の注意を払って対応した」と極秘検討の理由を説明している。