東証、名証1部上場の電気工事業「トーエネック」(本店・名古屋市中区)が名古屋国税局の税務調査を受け、05年3月期までの5年間で約7億円の申告漏れを指摘されていたことが23日、分かった。架空の外注費でねん出した資金を、工事の下請け業者に支払うなどしていたといい、同国税局は約2億9000万円を意図的な所得隠しと認定。重加算税を含め約2億6000万円を追徴課税した模様だ。同社は既に納税しているという。
関係者によると、同社は02~04年度に受注した電気設備工事の一部を下請け業者に外注したように装い、工事代金を支払っていたという。架空外注は本店のほか、東京本部や三重、静岡両支店で行われ、総額約1億1000万円に上る。下請け業者が過去の工事の赤字を負担しており、同国税局は「架空外注でねん出した資金を、下請け業者に赤字補てんとして提供していた」と判断したとみられる。
また、別の電気設備工事代金の約1億8000万円を意図的に売上に計上していなかった。さらに、計上すべき企業年金の未払い分(約4億円)での記載ミスなどもあったとして、過少申告加算税の対象とした。
同社経理部は「架空外注という認識はなく、国税当局と見解の相違があったが指摘に従った」と話している。【岡崎大輔】
毎日新聞 2006年7月23日 17時46分