京都市右京区のパチンコ店経営会社とその親族が計約28億円を脱税したとして、大阪地検特捜部は12日、「山村」会長の山村友七容疑者(69)と親族1人を法人税法違反容疑で、パチンコ店を個人経営する親族3人を所得税法違反容疑で、それぞれ逮捕。大阪国税局と合同で関係先を捜索した。5人による所得隠しの総額は計約79億円で、国内で過去2番目に高額。近畿では過去最高。
法人税法違反容疑で逮捕された親族は山村日載容疑者(35)。所得税法違反で逮捕された親族は、▽山村允載(42)▽山村敏夫(66)▽山村英載(39)--の各容疑者。
調べなどによると、友七容疑者ら2人は02~05年の間に、売り上げを大幅に除外するなどの手口で所得を圧縮し、法人税約4億7000万円を脱税した疑い。また、允載容疑者ら3人は03~05年の間の売り上げで得た所得を隠し、それぞれ所得税約6億~9億円を脱税した疑い。
同社はこの間の申告所得はゼロで、允載容疑者らも所得の一部しか申告していなかった。隠した所得の一部は金塊などに換えて保管していたという。
特捜部と大阪国税局は今年5月、脱税額が巨額に上るとみられたことから、同社本社など数十カ所を強制捜査。帳簿類などを押収し調べを進めていた。民間信用調査機関によると、同社は76年12月の設立で、資本金1000万円。5人は右京区や大阪市淀川区などで計5店を経営している。
過去の近畿での大型脱税事件では、92年のイトマン事件の関連企業による法人税脱税(約30億円)や、今年3月の「トモエタクシー」元社長による相続税脱税(約25億円)がある。
【鵜塚健、日野行介、田中龍士】
毎日新聞 2006年9月12日