環境省は5日までに、世界自然遺産の新たな候補地について、登録済みの白神山地(青森、秋田)の拡張登録を検討する方針を固めた。白神と同じブナの自然林を特徴とする飯豊・朝日連峰(山形、福島、新潟)と奥利根・奥只見・奥日光(福島、栃木、群馬、新潟)の2地域を拡張の対象とできないか引き続き調査する。
阿寒・屈斜路・摩周(北海道)と日高山脈(同)、南アルプス(山梨、長野、静岡)も候補になり得るか検討していたが、「世界遺産としての可能性は認められなかった」とし、事実上、選考対象から外した。
5地域に関する調査報告書を公表した。環境省の委託を受けた自然環境研究センター(東京)が作成。昨年9月に現地を調査したドイツ人専門家の見解を柱に、各地域の評価をまとめた。
2地域のブナ林は、白神山地と似ているため、個別の登録は難しいと指摘。しかし「卓越した自然林であり、白神山地の拡張登録を追求することを強く勧める」と記し、ほかに類似の地域がないかを含め、より詳しい調査を進めるよう促した。
一方、阿寒・屈斜路・摩周は、阿寒湖に生息するマリモや希少な鳥類などの生物多様性を中心にアピールしたが「固有性は高くない」と評価された。地質の特異性を訴えた日高山脈と南アルプスも「専門家以外には理解しにくい」とされた。
日本の世界自然遺産は白神山地のほか、知床(北海道)、小笠原諸島(東京)、屋久島(鹿児島)があり、奄美・琉球(鹿児島、沖縄)が登録を目指している。環境省は新たな登録の可能性を検討するため、2013年度に国内の16地域を調査。14年度は5地域に絞り込んで調査していた。〔共同〕