京都大の篠原隆司教授らは、精子のもととなる「精子幹細胞」に、これまでとは違う増殖の仕組みを持つタイプがいることをマウスを使った実験で発見した。男性不妊症の原因解明や治療につながる可能性がある。成果は米科学誌ステム・セル・リポーツ(電子版)に13日掲載される。
精子を形成する精子幹細胞は精巣にわずかな数しかなく解析が難しい。研究チームは精子幹細胞を長期間培養する手法を確立し、性質を調べてきた。
これまでは精巣中の細胞が分泌する「GDNF」という物質が精子幹細胞の増殖に欠かせないとされてきた。篠原教授らは、新たに細胞の増殖にかかわる「FGF2」という物質で増える精子幹細胞を見つけた。この精子幹細胞を不妊症のマウスの精巣に移植したところ、子供をつくれることも確かめた。
男性が原因の不妊症は精子を作る能力が劣っている場合が多い。精子の働きは年齢とともに鈍ってくるともいわれる。
精子のもととなる細胞が増える仕組みが詳しくわかれば、新たな治療法を開発するのに役立つ。