バスクリンの「きき湯 ファインヒート スマートモデル」=同社提供
寒さが厳しくなり、湯船で体を芯から温めたい季節になりました。入浴剤には最近、疲労回復や肩こりなど、効能をより強調した商品が増えています。
きりとりトレンド 話題の商品を紹介
閑静な住宅街にあるドラッグストア「サーバ豊中少路店」(大阪府豊中市)には、約30種類の入浴剤が並ぶ。安達鉄矢店長は「夏はシャワーだけの人も、冬は入浴を選ぶ。よく売れるようになってきた」と話す。
「疲労回復」「肩こり解消」「血行促進」と効果をPRし、形も粉末から固形、液状とさまざまだ。近年伸びているのが、炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させる炭酸タイプだ。
炭酸タイプは湯船で発生した二酸化炭素の効果で、血行促進効果を高めてくれるという。花王によると炭酸タイプの売上高はこの5年で2割伸び、入浴剤全体の約4割を占めるほどに。「体を温める効果が実感しやすく、人気が高まっている」(広報)と分析する。
歴史は古い。日本浴用剤工業会によると、日本初の入浴剤は明治中期に誕生した。様々な生薬を布袋に入れて煮出して使っていたという。主に銭湯で使われたが、住宅に風呂の設置が一般化した1960年代以降、個人向けにも広がったという。冬至のユズ湯のように薬用植物を使ったお風呂は古くから親しまれたことなどが、入浴剤の開発につながったと指摘する。
花王のアンケートでは、入浴剤を使ったことがある人は9割を占め、多くの人に浸透している。ただ、このうち1年以内に実際に買った人は3割にとどまる。入浴剤は香りもユズや花からアロマまで増えて効能だけでなく、気分転換や香りを楽しもうと使う人も多い。各社は高齢者向けなどあえて対象を絞った商品で関心を高めようと競っている。(田幸香純)
■入浴剤の売り上げランキング
①バブ ゆずの香り20錠入(花王)
②バブ 森の香り20錠入(花王)
③バブ ナイトアロマ12錠入(花王)
④温泡 こだわりゆず炭酸湯20錠入(アース製薬)
⑤ツムラのくすり湯 バスハーブ650ml(ツムラ)
⑥きき湯 マグネシウム炭酸湯つめかえ用420g(バスクリン)
⑦バブ ピースフルハーブ12錠入(花王)
⑧バスロマン プレミアムスキンケア680g(アース製薬)
⑨バブ ミルキーホワイトローズの香り20錠入(花王)
⑩バスクリン ゆずの香り600g(バスクリン)
※カスタマー・コミュニケーションズ社の購買行動全国パネルデータ「TRUE DATA」から。売上金額順で、集計期間は2015年10月~16年9月。
■香るハーブ 美肌効果
花王が20~30代の女性向けに売るのが「バブ エピュール」だ。美肌効果があるという「エプソムソルト」(硫酸マグネシウム)を配合、「シダーウッド&マンダリン」など天然ハーブアロマの香り3種類を用意した。粉末状で想定価格は400g(8回分)ボトルが1300円前後、50g入り1回分が190円前後。
■炭酸ガスと泡 疲労回復
紀陽除虫菊が中高年向けに販売する「薬用グランタブ」は、お湯に入れると炭酸ガスなどの細かな泡が発生する。泡が消えても疲労回復や肩こり、冷え症といった効果・効能は24時間続くといい、お風呂の追いだきもできる。保湿成分を配合、お肌をしっとりさせる効果もある。タブレット状で、参考価格は1個324円。
■旅気分 登別から霧島まで
クラシエホームプロダクツは「旅の宿 湯ったり周遊パック」を14日から数量限定で販売する。旅の宿は全国の名湯をイメージした入浴剤のシリーズで、パックには北海道「登別」から九州「霧島」まで全13種類が入っている。温泉ミネラルなどを配合、血行を促進する効果がある。粉末状で26包入り。想定価格は820円。
■だるい疲れ 汗で流す
バスクリンが販売する「きき湯 ファインヒート スマートモデル」はトウガラシエキスを配合。炭酸ガスの発生量を増やして温浴効果を高め、代謝や発汗を促すことで、だるい疲れに効くという。ホットシトラスの香り。粒状で想定価格は400g(8~10回分)入りのボトルが1008円、50g入りの1回分が142円。
主なメーカーの新商品から選びました。価格は税込み
(きりとりトレンド)