16日の東京株式市場で日経平均株価/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE2E4EBE2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXが2007年7月24日以来、7年7カ月ぶりに終値で1万8000円台を回復した。この間の構成銘柄の株価をみてみると、上昇率上位には富士重、ファストリ、ソフトバンク、ミネベア、京成といった銘柄が並ぶ。それぞれの上昇背景を分析するとオーソドックスな経営効率改善や事業拡大が評価された例に加え、この7年間で新たに浮上した需要の取り込みを期待した物色が浮き彫りになってきた。
7年7カ月ぶりに終値で1万8000円台を回復した日経平均株価(16日午後、東京・八重洲)
足元の株式市場を取り巻く環境を整理する。黒田東彦総裁が就任して以降、日銀の追加金融緩和で為替の円安が進んだ印象は強い。ただ、7年前と比べる実はそうではない。現在の円相場は対ドルで1ドル=118円台半ば、対ユーロ/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5EBE7E5E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXで1ユーロ=135円台前半。07年当時は対ドルで120円台前半、対ユーロで166円台前半だったため、今はどちらも円高だ。企業の海外事業収益が円建てで膨らむ「円安メリット」が7年前の日経平均株価/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EAE4E3E3E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXを上回った一因とみるのは早計だ。
また、当時と大きく違うのは日銀の指数連動型上場投資信託/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE3E5E7E2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(ETF)買いや年金積立金管理運用独立行政法人/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE6E0E4E2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(GPIF)の運用見直しによる株式運用残高積み増しといった公的な資金の存在だが、これによる押し上げの影響も限定的との声が市場ではあった。
日経平均株価の予想PER/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3EBE2E1E5E2E3E5E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NX(株価収益率)はこのところ15~16倍近辺で安定している。野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「公的資金/dx/async/async.do/ae=P_LK_ILTERM;g=96958A90889DE2E6E3E5EAE5E0E2E3E4E2E1E0E2E3E29BE0E2E2E2E2;dv=pc;sv=NXによって相場が過剰に押し上げられているとすれば、予想PERも上がっていくはず。日経平均株価の上昇は企業の実力とみるべきだ」と指摘する。
では上位5銘柄はそれぞれどのような理由で買われているのか。富士重の株価は経営効率の改善への取り組みが評価され、当時の7倍近くに達している。資本関係にあるトヨタが得意とするコスト削減の効果が顕著に表れている。また、軽自動車の開発・生産を12年でやめる一方で、高付加価値車が売れやすい北米での自動車販路拡大に注力した。こうした選択と集中はミネベアの買い材料にもなった。株価は2.5倍になった。
ソフトバンクはM&A(合併・買収)による事業拡大が評価された代表格だ。株価は2.7倍になった。大型だったのは12年に発表した米通信大手スプリントの買収。同社の業績改善は思うように進んでいないが、米国市場開拓の大きな一歩として注目されている。そのほかにもイー・モバイルやウィルコムなど傘下に収めた企業は数多い。
対して7年前と比べて新たに浮上してきた価値が買い材料となっているのがファストリと京成だ。ファストリは新興国需要の変化に対応しうる銘柄として買われ、株価は7年前の6倍となっている。アジアなどの新興国経済はこの7年間、成長軌道をたどってきた。それとともに取り込むべきは開発需要から、中間層需要にシフトしてきた。同社は日本を除くアジアで580店舗以上(14年8月期末時点)のユニクロを展開しており、需要を取り込む体制が整っていると評価された。半面、7年前に開発需要の取り込み期待から買いを集めた日立建機や住友重などは大きく下げた。
「訪日外国人需要」がキーワードとなっているのが京成だ。14年の訪日外国人旅客数は13年比29%増の1341万人。太田昭宏国土交通相は「今年の訪日旅行客は1500万人を超える」との見通しを示した。成田空港と東京を結ぶため、外国人需要を取り込みやすい。また、同社が筆頭株主をつとめる持ち分法適用会社OLCが運営する東京ディズニーリゾートも外国人でにぎわっている。
1万8000円の大台に到達し、次に目指すのは第1次安倍政権時につけた1万8261円の高値。株価水準は7年前と同じだが、世界規模で経済が変化する中で、評価される企業価値の基準もまた変わってきた。市場では「日経平均2万円」の声が勢いづくが、一段の押し上げには新たな需要を取り込んださらなる企業価値の向上が不可欠といえそうだ。
〔日経QUICKニュース(NQN) 湯田昌之〕