大阪府が16日発表した2015年度予算案は、南海トラフ巨大地震への備えや昨夏の広島市の土砂災害を受けた治水対策など防災関連で前年度比約3割増となる約312億円を計上した。児童虐待対策や貧困家庭の子育て支援として約22億円の基金を新たにつくる。
松井一郎知事は同日の記者会見で「津波から府民の命を守る対策として、防潮堤の基礎や地盤の液状化対策を着実に進めていく」と強調した。
防災予算のうち約208億円は津波・浸水対策の工事費に充てる。総延長計約14キロメートルに及ぶ防潮堤周辺について液状化対策を実施するほか、河口にある水門が津波に耐えられるよう補強する。
府は24年春までに一連の工事を終える方針。
府の試算によると、こうした対策に伴い、南海トラフ巨大地震による府内の想定死者数は現行の約13万3千人から約7200人に減り、経済的な被害も約28.8兆円から約16.8兆円にまで減額するとしている。
津波からの避難体制を強化するため、消防団などへの補助も約1千万円計上した。女性消防団員が軽量な装備を購入する費用などを対象とする。
豪雨の土砂災害対策には約8億円を充てる。約40地区を対象に渓流の勾配を穏やかにし、渓流沿いの木を伐採し豪雨時に流れ出ないようにする。
また子育ての分野では約22億円の基金「新子育て支援交付金」を新設。市町村が独自に実施する児童虐待防止事業などに500万円までを基金から出す。具体的には市町村が児童相談所OBや医師を児童虐待の防止のためのアドバイザーとして採用したり、貧困家庭の児童の学習を支援したりする事業が対象となる。