経済産業省は17日、電力会社の送配電部門を分社する「発送電分離」について、政府が3段階に分けて検証する規定を盛り込んだ電気事業法の改正案を示した。発送電分離で電力会社の経営が悪化し、電力の安定供給に支障がないかなどを検証する。問題が判明すれば電力会社の資金調達などに必要な措置を講じる。
経産省は同日開かれた自民党の経済産業部会に電気事業法とガス事業法の改正案を示した。今国会での成立を目指す。
発送電分離をめぐっては「原発が再稼働しない中で進めれば電力経営の打撃となる」といった懸念が与党内から出ていた。経産省は2016年の電力小売り全面自由化前、20年の発送電分離の実施前、分離を実施してから5年以内の3つの時点で検証する。
発送電分離は、電力会社が持つ送電網を電力小売りに参入する企業が公平に使えるために進める。政府が電力会社と新規参入企業との競争の進み具合や安定供給への影響を検証することで、分離を円滑に進められるようにする狙いがある。
経産省は東京、大阪、東邦の都市ガス大手3社の導管部門も22年に分社する方針だ。ガスの分社化でも、電力と同様の検証規定を法改正案に盛り込む。