東京都中央区の認可外保育施設で2016年に1歳(当時)の男児が死亡した事故について、都の検証委員会が8日、原因や課題を報告書にまとめた。国が昨年出した通知に基づく措置で、都内の事故検証は初めて。施設の不十分な態勢を指摘し、行政の指導強化も求めた。
施設は「キッズスクウェア日本橋室町」。都によると、16年3月11日、昼寝をしていた男児がぐったりした状態で職員に発見され、病院で死亡が確認された。
報告書によると、男児は昼寝の途中で目覚めて泣くことがあるため、別室で1人で寝かされており、少なくとも50分間、誰も様子を見ていなかった。発見時はうつぶせ寝で心肺停止状態だったが、職員の救命措置が遅れた。死因については、警察に情報提供を求めたが「個人情報のため開示できない」と断られたという。
施設は、基準を満たす職員数を配置していたが、施設長を含めた保育士の経験年数が1~4年と短く、乳幼児突然死症候群(SIDS)や昼寝の際の窒息の危険性、応急処置に関する知識が不十分だった。丁寧に保育しなければならないという共通認識が薄く、別室に寝かせたままにするなどしていたことが、事故につながったなどと指摘した。
また、都がこの施設を11年の開設以来、一度も立ち入り調査していなかった点も問題視し、都に巡回態勢の強化を求めた。認可外施設については厚生労働省が「原則、年1回の立ち入り調査」を自治体に通知しているが、都は都内の対象1676施設のうち年約2割しか調査できていない。都は、通知に沿う指導ができる態勢を整える。都内には全国の認可外保育施設の2割が集まっている。(仲村和代)