東京電力福島第一原発事故をめぐり、株主が旧経営陣らに約9兆円の賠償を求めている訴訟の弁論が2日、東京地裁で開かれた。株主側は裁判官らが現地で津波の浸水経路などを検証するよう申し立てた。「旧経営陣らが津波による危険性を予測できたことを立証するため」としている。
株主側の弁護団によると、申し立ては2月24日付。裁判官らが福島第一原発を訪れ、建物や重要機器の位置、津波の浸水経路などを直接見るよう求めたという。東電側は2日の口頭弁論で「必要はないと思うが、書面で反論する」と述べた。
また、株主側が求めていた政府事故調査・検証委員会が聴取した旧経営陣らの調書の文書提出命令の申し立てについては、東京高裁が2月22日付で退けたことを明らかにした。株主側は、津波対策に関する東電の内部資料などの提出を地裁に要請した。(塩入彩)