日本経済新聞デジタルメディアは17日、東京大学発ベンチャーで、経済データ解析などを手掛けるナウキャスト(東京・文京、赤井厚雄社長)と資本・業務提携で基本合意すると発表した。日次の経済データを使ったリアルタイム性の高い価格指数の算出・配信などで協業する。
ナウキャストは日経・東大日次物価指数を開発した東大の渡辺努教授や不動産価格指数で実績のある麗沢大の清水千弘教授らが中心となり2月上旬に設立した。
日経デジタルメディアが全国のスーパー800店舗を網羅して作成する日経POS(販売時点情報管理)情報と、不動産価格情報、ポイントカードの購買履歴などの経済ビッグデータを用い、ナウキャストが指数・指標を開発する。日経デジタルメディアは外部向けのデータ配信や企業向け会員組織の運営などで連携する。
日経デジタルメディアはナウキャストが3月下旬をメドに実施する第三者割当増資を引き受ける予定で、月内に同社と基本合意書を結ぶ。東京大学エッジキャピタル(東京・文京)も出資を予定している。
政府や業界団体の統計は発表まで数日から数週間のタイムラグがある。高頻度のビッグデータを解析して足元の経済動向を精緻に把握する手法は「経済ナウキャスティング」と呼ばれ、渡辺教授は「経済の不確実性が増し、商品や不動産の価格の適正水準が見えにくくなる中、信頼できるベンチマーク指標を創出することで、経済の効率性と安定性を高めることができる」としている。