政府は17日、消費税率の10%への引き上げを当初予定の2015年10月から1年半遅らせて17年4月に先送りする15年度税制改正の関連法案を国会に提出した。安倍晋三首相は「確実に実施する」と言明しているが、実際に再増税できるかは経済成長の持続がカギを握るとの見方が多い。
改正案では「例えばリーマン・ショック直後とか東日本大震災直後」(安住淳財務相=当時)のような経済の急変時に増税を中止できるとした「景気判断条項」をなくした。今回の増税延期はこの条項に基づいて安倍首相が決断した。削除により形式的には景気を理由にした再延期の退路を断ったようにも見える。
ただ、安倍首相は「リーマン・ショックのような世界的な経済の緊縮状況」では再延期もあり得ると含みを残している。景気判断条項は削除したものの、実質的には再増税できるかは経済状況次第となる公算が大きい。もう一度、法改正すれば増税を再延期できる。
足元の景気は緩やかに回復しているが、17年4月に再増税の環境が整っているとは限らない。