ギリシャの左派連合政府とほかのユーロ圏諸国の財務相会議がまた混乱し決裂した。ごまかしだとか約束違反だといった厳しい言葉が飛び交っている。
だが、ギリシャ救済をめぐる再交渉がまとまる可能性はある。双方は抽象的な問題について態度を見せびらかすのではなく、具体的な問題に焦点を当てるべきだ。
EUの財務相理事会に到着したギリシャのバルファキス財務相(17日、ブリュッセル)=ロイター
ギリシャはこれからも再喚起された需要を持続的成長につなげ、また特に同国経済を覆う肥大化した官僚制度という障害を克服するための構造改革に取り組まなければならない。一方、ギリシャが国家債務の大幅な帳消しを必要としていることはだれの目にも明らかだ。
■信頼の欠如が垣間見えた騒ぎ
相互信頼の欠如と用語や手続きをめぐる混乱が合意を阻んでいる。例えば16日夜にはブリュッセルで2つの異なる交渉文書が出回った。強硬な内容を盛り込んだユーロ圏側の文書と、モスコビシ欧州委員が作成した左派連合に優しい文書だ。コミュニケをめぐるユーロ圏側の議論では、抽象的な名詞がどのような政策を指すのか合意のないまま、それが重要な原則として使われるということもあった。
こうした用語をめぐる騒ぎの奥には信頼の欠如がある。ユーロ圏は、ギリシャがこれまでに解雇した公務員を再雇用するとか労働市場の規制緩和を反転させるために暫定的なつなぎ期間を利用し、改革を後戻りさせるのではないかと懸念する。
一方、ギリシャは現時点で今の措置の延長に同意した場合、今後それを大きく変更できなくなるのではと心配している。
溝は埋められるはずだ。ユーロ圏がギリシャに対し、救済策改定の交渉が続けられている間は財政黒字目標額の削減を認める。一方で、政府は少なくともその間、今の改革の継続に同意する。そうすれば妥協は可能だ。ユーロ圏はギリシャに対し一連の改革が完了すれば、債務を大幅に帳消しにするという奨励策をちらつかせることもできる。
ユーロ圏とギリシャは合意からほど遠いわけではない。今、交渉には冷静さと明晰(めいせき)さ、そして時間が迫っているとの認識を流し込む必要がある。
(2015年2月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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