避難訓練で公民館に続々と集まる住民ら。参加者43人の多くは年配=17日朝、秋田県男鹿市北浦
日本に向けミサイルが発射された。数分で落ちる。さあ、どう逃げる。
ミサイル落下前の情報提供「不可能に近い」 官房長官
北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返す中、そんな訓練が日本で初めて行われた。会場は「なまはげ」で知られる秋田県男鹿市にある、日本海に面した小さな漁村。どのような訓練が行われ、そこから見えたものは――。
17日朝、会場となる北浦公民館周辺で年配の住民らが掃除をしている。日常の光景だ。訓練は午前9時半、日本海の向こうでミサイルが発射され、この漁村の方へ飛んでくる、という想定で始まった。
日本全土をほぼ射程に入れる北朝鮮の中距離弾道ミサイル・ノドンの場合、発射から着弾まで7~10分と日本政府はみている。発射したことを把握し、弾道を予測し、着弾先の住民になるべく早く伝えることが、避難には不可欠だ。
今回の訓練では、住民が発射を3分後に知る。ゆったりとした暗い音程のサイレンに続き、「先ほどミサイルが発射された模様です」。首相官邸の情報が消防庁経由で自治体に伝わり、防災無線で流れる「Jアラート」という仕組みだ。住民らは掃除の手を止め、続報を待った。
またサイレンが鳴り、「直ちに避難。屋内に避難してください」。発射から5分。政府は北海道・東北付近の領土か領海に落ちると予測し、対象となる地域の住民に避難を呼びかけた。
「屋内に避難」の指示には、訳がある。ミサイルが爆発した場合、周辺にいても爆風や熱に直接さらされないことで死傷者が減るからだ。
屋外にいた住民らは、すぐ公民館へ。高齢者が目立つ。慌てて転ばないように歩き、付近にいた43人が1分半で避難を終えた。もう一つの会場の小学校では67人参加で2分強。結局、発射から避難終了まで6分半~7分強。7分で着弾していれば、かなりきわどいタイミングだった。
北朝鮮は国際社会への挑発を強…