食用油の原料などの国際相場が軒並み上昇している。菜種は7カ月半ぶりの高値をつけ、パーム油は約1カ月ぶりの高値水準で推移する。菜種が主産地カナダで減産になるなど供給面で強材料が相次いでいるためだ。大豆も足元で強含んでおり、国内食用油相場の押し上げ要因になりそうだ。
菜種は日本の食用油市場で約4割のシェアを占めている。国際指標のカナダ・ウィニペッグ市場の先物価格は25日の時間外取引で、1トン470カナダドル前後(約4万5000円)で推移している。直近安値の9月下旬から2割値上がりした。
世界最大の生産国であるカナダでは、2014年に収穫した菜種の生産量が1555万トンと前年から1割以上の減産になったもようだ。「14年にはカナダで降雨量が多かった影響で、単位面積あたりの収穫量が減った」(コンチネンタルライスの茅野信行代表)ことを映した。菜種の需要は新興国を中心に食用油向けで増加が続き、世界の需給は締まっている。
大豆も足元の値動きが堅調だ。シカゴ市場では1ブッシェル10.1ドルと約1カ月半ぶりの高値水準で推移している。収穫作業が進むブラジルでトラック運転手のストライキが発生し、物流が滞る懸念が出ているためだ。米農務省が15年の大豆作付面積見通しを前年から減らしたことも材料視された。
東南アジアなどで消費量が多いパーム油も強含んでいる。国際指標のマレーシア先物市場では1トン2300リンギ(約7万6000円)前後で、14年8月の安値と比べ2割弱高い水準だ。
「14年末に生産地のマレーシアで発生した洪水が影響している」(商社)。マレーシア政府によると、1月のパーム油の在庫量は前年同月と比べて1割程度少ない。
食用油原料の国際価格が軒並み上昇していることを受け、製油会社はスーパーなどで売る家庭用や業務用などで値上げ交渉を進めている。
日清オイリオグループ、J―オイルミルズは1月からの値上げを進めていたが、原料の値上がりが想定以上に進んだことなどを理由に、4月以降についても追加値上げを発表した。「一段の値上げができなければ、安定供給が難しい」(J―オイルミルズ)と主張している。