放射線影響研究所(広島市、長崎市)が、東京電力福島第1原発事故が発生した2011年3月から12月までの間に、現場で緊急作業に従事した全国約2万人を対象とする継続的な健康調査を15年度から始めることが4日、分かった。
生涯にわたって実施され、被曝(ひばく)線量の健康への影響について調べる。厚生労働省によると、こうした作業員の長期的な健康調査は初めて。
厚労省や放影研によると、対象者約2万人のうち希望者に実施。先行して福島県在住の作業員から始め、15年度から全国に広げる。福島県在住の対象者は約5千人で、同意を得られたのは約2千人という。
厚労省の有識者検討会が調査の在り方を議論し、昨年10月に放影研が研究機関に選定された。国からの補助金を受け、各地の大学や医療機関とも協力して取り組む。
厚労省の担当者は「一人一人の被曝線量を推定し、がんなどの発症との相関関係を明らかにしたい」と話した。対象者には20代の人もいて、調査が60年ほど続くケースもあるとみている。〔共同〕