大阪大の山本浩文准教授らは、新しいタイプの医薬品として開発が進む核酸医薬をがん患部に効率よく届ける投与法を開発した。直径10ナノ(ナノは10億分の1)メートルサイズの超微粒子につけて注射すると、ごく少量の核酸医薬でも大腸がんの腫瘍が大きくなるのを防ぐことをマウスの実験で確認した。今後、企業と組むなどして実用化を目指すとしている。
超微粒子はカルシウムやリン酸、炭酸でできている。作製時に核酸を混ぜ込む。静脈に注射すると、腫瘍の部分だけに集まる。集積すると即座にがん細胞に取り込まれ、がん細胞を死滅させる。マウスとサルを使った実験で現段階では副作用はみられないという。
核酸は試験管の実験ではがん細胞を死滅させる効果が高いことが知られている。ただ、血液中にそのまま投与してもすぐに分解してしまい、体内のがん細胞まで届けられない。このため、がん治療への応用はなかなか進んでいない。