川崎市の多摩川河川敷で殺害された中学1年の上村遼太君(13)の母親が出したコメントにシングルマザーが自身を重ね、心を痛めている。仕事に追われ、子供と十分向き合えないもどかしさ。異変に気付けなかった悔い……。支援者は母子家庭への支援充実や気軽に相談できる窓口の必要性などを訴える。
母親は離婚後、病院などで働きながら子供5人を育てており、2013年夏、一家は実家がある川崎市に移った。
「遼太が学校に行くよりも前に出勤しなければならず、また遅い時間に帰宅するので、日中、何をしているのか十分に把握することができなかった」「今思えば、私や家族に心配や迷惑をかけまいと、必死に平静を装っていたのだと思う」。母親が2日出したコメントからは息子を守れなかった後悔がにじんだ。
「(上村君の)お母さんは疲れ切っていたと思う」。6日、現場の河川敷で手を合わせていた関東地方に住む60代のシングルマザーの女性はつぶやいた。
息子は中学生だった十数年前、上級生から暴行を受け不登校になったという。家計を支えるため仕事を掛け持ちしたが、月収は20万円弱、正月も働くギリギリの生活だった。女性は「面と向かって話す時間がなかった。息子もそれが分かっていてお互いに歯がゆかった。日々に流されるままだった」と振り返った。
ひとり親家庭などを支援するNPO法人「M―STEP」の新川てるえ理事長は「母親がちょっとしたことでも気軽に相談できる仕組みをつくることが必要」と指摘。学習支援ボランティアなど子供が悩みを打ち明けられる場をつくることなどを提案している。〔共同〕