アベノミクスは、成果を出せずに終わった有望な概念なのか? 懐疑的な向きには、間違いなくそう見えるに違いない。日本の成長は行き詰まった。今週の統計の下方修正は、日本経済が2014年10~12月期に年率で1.5%拡大したことを示していた。近年、人を魅了してきたとは言い難い成熟経済にとっては、それほど悪くない数字に思えるかもしれない。だが、2四半期の大幅な縮小に続く動きだ。
首相官邸に入る安倍首相(2月16日)=共同
実際、日本の国内総生産(GDP)は14年に、わずか0.03%とはいえ縮小した。どれほど小さいものであろうとも、マイナス成長は、エコノミストらが日本が20年間のデフレを払拭するために必要だという「脱出速度」では決してない。
デフレ退治は、安倍晋三首相が12年12月に導入したアベノミクスの中核のはずだった。ここでも、悪いニュースのように見える。日銀の黒田東彦総裁は、13年4月から「2年程度」で2%のインフレを実現すると約束した。同氏は今、ごまかしている。中央銀行家の言語では、どうやら、「2年程度」は3年ないし、それ以上を意味することがあるようだ。透明性も、もはやこれまでだ。
エネルギーを含むコア・インフレ率は現在、わずか0.2%で推移している。石油価格が急激な反騰を演じない限り、日本は間もなくデフレに逆戻りする可能性がある。インフレのないアベノミクスは、亡霊がいないハムレットのようなものだ。
弱いインフレは日銀に、昨年10月の予想外の第2次砲撃に続く追加の量的緩和を行うよう迫る。日銀が行動しなければ、市場の信用と、インフレが浸透するという説得を必要としている国民の信用を失う恐れがある。低インフレは部分的には政策の大失敗に起因している。すなわち、ちょうど消費者が支出を求められているときに行った昨年の3%の消費税率引き上げだ。消費者は支出するどころか、財布の口をぴしゃりと閉めた。
■安い石油価格、よいニュース
こうした状況からすると、物事が計画通りに進んでいると主張するのは難しい。それにもかかわらず、展望は見た目よりも明るい。ディスインフレのより大きな理由は安い石油価格だ。これは日銀に葛藤をもたらすかもしれないが、経済全体にとっては素晴らしいニュースだ。日本は巨大なエネルギー輸入国であり、4年前に津波が福島の原発を襲った後に国内の原子炉が稼働を停止して以来、その度合いが増している。
安い石油は需要に驚くほどの効果をもたらすだろう。経常赤字に関する懸念も和らげるはずだ。今年、日本の経常黒字はGDP比3%に達するだろう。