阿倍野再開発の経緯
大阪市がJR天王寺駅の南西エリアで進めてきた「阿倍野再開発事業」(阿倍野区など、約28ヘクタール)について、市は2日、この事業の損失は最終的に1961億円に上るとの検証報告書を発表した。巨額損失を生んだ原因として、バブル経済後の地価下落や市の組織運営の問題などがあったと分析。巨大再開発事業は、今も市の財政を圧迫している。
検証報告書は吉村洋文市長の指示で、市都市整備局が1年かけてまとめた。
報告書によると、再開発は木造密集地域の防災力を高め、都心機能を強化する目的で、1976年に都市計画決定。15年後に事業を終える予定だったが、地権者が約3100人と多く用地買収が難航。25年以上遅れ、2017年度に終了予定だ。用地買収や公園、道路、集合住宅の建設などに市が投じた事業費は4810億円に上り、市債(4224億円)の利子も1639億円に膨らんだ。一方で、土地の売却収入は1193億円、賃貸収入は1064億円にとどまる。最終的な損失額は1961億円に上る見通しだ。
損失の直接的な理由について、…