政府は13日、東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う福島県内の除染で出た汚染土について、中間貯蔵施設を建設する大熊町の仮置き場から施設の用地内への搬入を始めた。13日から30年以内に県外で最終処分する計画だ。事故から5年目に入り、汚染土の処理は新たな局面を迎えた。
政府は13日午前から大熊町内にある仮置き場で汚染土の搬出に向けた作業に着手。汚染土を詰めた袋をクレーンでつり上げ、10トントラックに積み込んだ。
13日午後2時すぎには中間貯蔵施設の建設用地内にある大熊東工業団地内で企業から無償で借りた土地に整備した保管場にトラックが到着。初めてとなる汚染土を下ろし、搬入を始めた。13日は2台で12袋を運ぶ。今後、4月上旬にかけて計1000立方メートルを持ち込む計画。
大熊町と同じく施設の建設用地がある双葉町でも13日から仮置き場から保管場への搬入を始める予定だったが、町内の調整に時間がかかり、25日に延期した。
県内に1000カ所以上ある仮置き場からの搬出は、大熊、双葉両町を皮切りに福島第1原発周辺にある双葉郡と田村市を加えた9市町村で始め、県内の43市町村へと広げる。ただ今後1年間は試験搬入と位置づけ、施設の用地内に運ぶ量は計4万3000立方メートルにとどまる。
中間貯蔵施設への搬出に向け、仮置き場の汚染土壌をトラックに積み込む作業員(13日午後、福島県大熊町)
政府は1兆1000億円の国費を投じて大熊、双葉両町にまたがる16平方キロの用地に中間貯蔵施設を建設する。最大で東京ドーム18杯分に相当する約2200万立方メートルの汚染土を搬入し、13日から最長で30年保管したのち、県外で最終処分する。
当初の計画では14年7月に施設を着工して今年1月から汚染土を搬入する予定だった。建設の受け入れを巡る地元との交渉が滞り、計画を先送りしていた。