AIJ投資顧問(東京・中央、現MARU)の年金詐欺事件で、詐欺と金融商品取引法違反(契約の偽計)の罪に問われ、一審・東京地裁で懲役15年の判決を受けた元社長、浅川和彦被告(62)ら3人の控訴審判決が13日、東京高裁であった。井上弘通裁判長は「大規模で社会的影響も大きい犯行を繰り返した責任は重い」として被告側の控訴をいずれも棄却した。
ほかに控訴を棄却されたのは、同じ罪に問われ、一審で懲役7年の判決を受けた元取締役、高橋成子被告(55)とAIJ傘下のアイティーエム証券元社長、西村秀昭被告(59)。
井上裁判長は判決理由で「詐欺の故意に欠けるところはない」などとしたうえで「会社の延命を図るという身勝手な理由で犯行を繰り返し、量刑が重すぎて不当とは言えない」と指摘した。
浅川被告が控訴審で「約22億円を弁償する」と表明していた点については「弁償の実現可能性が不明で、現段階では量刑判断を揺るがすほどの影響はない」とした。
判決によると、3被告は2009年2月~12年1月、17の年金基金に虚偽の運用実績を示し、水増し価格でファンドを販売して計約248億円をだまし取った。
控訴審で浅川被告は詐欺罪について無罪を主張。高橋被告は全面無罪を主張し、西村被告は一審判決の刑が重すぎると訴えていた。