大阪大の澤芳樹教授らは、治療用に安全性と品質を高めたヒトiPS細胞から、8割の高い効率で心臓の筋肉の細胞を作ることに成功した。京都市で14日に開いたシンポジウムで明らかにした。重症心不全をiPS細胞を使って治す再生医療の実現に向けて前進した。
作った心筋細胞の性質を詳しく調べ、2、3年後に計画する臨床応用の準備を急ぐ。
ヒトiPS細胞は、京都大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)が将来の再生医療向けに備蓄している「iPS細胞ストック」から提供を受けた。医薬品製造の基準を満たすよう厳重管理された環境で、がん化の可能性を限りなく小さくする手法で作られている。
澤教授らは、これまでもヒトiPS細胞を同程度の効率で心筋細胞に変えているが、治療を前提に作ったiPS細胞ストックの細胞で実現したのは初めてという。