iPS細胞ストックを使った移植の流れ
失明の恐れがある網膜の病気の患者に対して他人のiPS細胞を使う臨床研究について、厚生労働省の部会は1日、理化学研究所などのチームが出した計画の実施を認めた。今月中にも厚労相から正式に通知が出され、今年前半に移植が実施される見込み。
京大iPS細胞研究所(CiRA〈サイラ〉)が健康な提供者の血液からつくって備蓄する「iPS細胞ストック事業」の細胞を網膜の組織に変化させ、加齢黄斑変性の患者の目に移植する。計画では大阪大と神戸市立医療センター中央市民病院で計5人に手術し、安全性を評価する。他人のiPS細胞を使った臨床研究は世界で初めて。
CiRAでは昨年11月、赤ちゃんのへその緒の血液(臍帯血〈さいたいけつ〉)からつくったiPS細胞で、試薬ラベルが誤って貼られているのが見つかり、本来使わない試薬に含まれる遺伝子が混入した可能性を否定できないとして先月23日に提供を停止した。今回の移植では、通常の血液(末梢〈まっしょう〉血)からつくった別のiPS細胞が使われる。部会ではCiRAの担当者が今回使うiPS細胞の製造過程を再確認し、問題がなかったことを報告し、部会も「問題ない」と判断したという。
部会終了後、理研の高橋政代プロジェクトリーダーは「(手術が)今年前半という予定は変わらない。大臣の承認が出たら会見する」と話した。部会長を務める福井次矢・聖路加国際病院長は「安全性は慎重に議論した。まずは、この計画がうまくいくことを願っている」と話した。
世界で初めてiPS細胞を使っ…