「1票の格差」が最大2.13倍だった昨年12月の衆院選は違憲だとして、弁護士グループが選挙無効(やり直し)を求めた訴訟の判決が20日、名古屋高裁であった。揖斐潔裁判長は「区割りは憲法の投票価値の平等に反する状態にあった」と述べ、選挙を「違憲状態」だったと判断した。選挙無効の請求は棄却した。原告側は上告する方針。
判決を受け名古屋高裁前で「違憲判断」の幕を掲げる弁護士ら(20日午後、名古屋市中区)
昨年の衆院選を巡っては、2つの弁護士グループが17件の訴訟を全国の高裁・高裁支部に起こしており、判決は2件目。19日の東京高裁は「合憲」としており、判断は分かれた。
一連の訴訟では、2013年の法改正で、選挙区定数を「0増5減」としたことへの評価が争点となっている。
名古屋高裁は判決理由で、「0増5減」が行われた県以外では、都道府県ごとに1議席を割り振る「1人別枠方式」が維持され、「構造的な問題を最終的に解決したとはいえない」と指摘。格差が2倍以上となっている選挙区が13あったことも挙げ、「違憲状態」だったとした。
一方で、衆院が有識者らによる選挙制度調査会を設置し、格差の是正策について議論が行われている点などを評価。「格差是正の取り組みは国会に与えられた裁量の範囲を逸脱したとはいえず、格差是正のための合理的期間を経過したとは認められない」と結論づけた。
19日の東京高裁判決は、「0増5減」による区割りを「国会の裁量の範囲内」と評価し、合憲と結論づけた。
各地の判決が出そろった後、最高裁大法廷が統一判断を示す見通し。