国税庁は26日、企業が抱える繰越欠損金の残高が2013年度末時点で68.6兆円と前年度比で4.4兆円減ったと発表した。5年連続で減り、リーマン危機前の69.9兆円を下回る水準に戻った。企業業績の改善に合わせて法人税収が増えやすい環境が整ってきた。
企業は税務上の赤字(欠損金)を翌期以降の黒字(課税所得)と相殺して税負担を減らせる。日本企業の繰越欠損金はリーマン危機で企業業績が急激に悪化した08年度に90.8兆円に拡大した。
09年度から減少に転じたものの、70兆円台という高水準が続き、景気が回復しても税収が伸び悩む要因となってきた。13年度末の68.6兆円は、1997年度に記録した65.2兆円以来の低水準となる。
企業業績の改善が続き、繰越欠損金も減り続けていることから法人税収も堅調に推移している。09年度に6.4兆円に落ち込んだ法人税収は13年度には10.5兆円まで回復した。14年度は10.5兆円、15年度は11兆円を見込んでいる。繰越欠損金の残高が大幅に減少したことで、今後の法人税収が上振れする可能性が出てきた。
さらに、政府は15年度から繰越欠損金制度を縮小し、法人税収が増えやすくなるようにする。大企業では現在、黒字の8割まで欠損金を差し引くことを認めているが、15年度は65%までに制限し、17年度は5割にする。