厚生労働省が27日発表した2月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍と、前月よりも0.01ポイント上昇した。22年11カ月ぶりの高水準だった。総務省が同日発表した完全失業率(同)も3.5%と同0.1ポイント改善した。企業の求人が増え、人材を囲い込む動きが激しくなっている。非正規社員数は正社員への転換などを背景に、昨年以降で初めて減少に転じた。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。数字が高いほど、仕事を見つけやすい状況で、企業にとっては採用が難しくなる。
2月に受け付けた新規求人数(原数値)は前年同月よりも1.7%増えた。主な11業種のうち、6業種で増加した。塾などの教育・学習支援業が20.2%増、医療・福祉が8.7%増だった。一方、情報通信業(10.0%減)は減った。前月に比べて新規求人の伸びが鈍ったため、新規求人倍率は1.63倍と前月よりも0.14ポイント下がった。
完全失業率は働ける人のうち、仕事に就かずに仕事を探している完全失業者の割合を示す。2月は就職が進み、2カ月ぶりに低下した。
雇用形態別にみると、非正規社員が1974万人と前年同月よりも15万人減った。非正規が減るのは比較可能な14年1月以降で初めて。正社員は58万人増の3277万人になっており、正社員への転換が進んだとみられる。雇用者に占める非正規社員の割合は37.6%と0.6ポイント下がった。総務省は雇用情勢が「総じて改善傾向で推移している」と分析している。