選挙の投票がより便利になりそうだ。投票日の前に1票を投じる「期日前投票」を早朝や夜遅くにできるようにし、通勤通学や帰宅の際に立ち寄りやすくする。選挙当日も住む市区町村内なら投票所を自由に選べるようにする。若者や働く世代の投票率が低迷していることから投票に行きやすい環境を整える。
総務省の有識者検討会が27日、投票環境の向上策の中間報告をまとめた。総務省は公職選挙法の改正作業に入り、早ければ来年夏の参院選からの導入をめざす。
期日前投票は2003年に導入され、最近はターミナル駅やショッピングセンターなど利便性の高い施設に置く自治体が増えている。14年衆院選では利用者が約1300万人を超え、投票者全体の4人に1人を占めた。
ただ現在は開いている時間が午前8時30分から午後8時までの間に限られている。早朝の通勤時間帯に開いていなかったり、ショッピングセンターが夜10時まで営業しているのに期日前投票所が先に閉まってしまうなど使い勝手が悪い面もあった。改善策として投票時間を自治体の裁量で決められるようにする。
選挙当日も住んでいる市区町村内ならどの投票所でも投票できるようにする。今は「投票区」と呼ぶ区分けに従って学校などの公共施設を投票所としているが、場所によっては隣の地区の投票所の方が近い場合がある。
自治体は経費削減のため投票所の数を減らしている。投票所まで遠くなったことが投票率を下げる一因との指摘もあることから、投票場所を選べるようにして利便性を高める。
衆院選と同時に実施する最高裁判所裁判官の国民審査の期日前投票についても、衆院選の期日前投票と開始時期がずれているのを見直し、一緒に投票できるようにする。