1日付で全国銀行協会の会長(任期1年)に就任した佐藤康博会長(みずほフィナンシャルグループ社長)は同日午後の就任会見で「日本経済の好循環の広がりに貢献する1年にしたい」と抱負を語った。具体的には「成長機会の創出につながる金融仲介機能の発揮」や「安心安全で利便性の高い金融インフラの構築」、「より健全な金融システムの構築」などを進めていくと強調した。
佐藤氏は「伝統的業務における経営環境は厳しい」と指摘、超低金利の継続で貸し出し利回りの低下が続き、「住宅ローン市場においても競争が増している」と説明。銀行に対して「コンサルティング需要が高まっている」などの社会的な要請の変化があることに加え、IT(情報技術)企業の決済業務への参入など競争環境の変化、国際的な金融規制の強化に対応していく必要があるとの認識を示した。
国内景気については「緩やかな回復基調が続く」とし、「政府主導から民間の活力による景気回復へと移ってきた」と指摘した。そのうえで「民間経済界がその活力を十分に発揮して日本経済の回復の足取りを確固たるものにしていくために金融機関として取るべくリスクはしっかり取る」との決意を示した。
中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーの申請が3月31日に締め切られ、日本と米国が参加表明を見送った。佐藤氏は「個人的な見解」と前置きしたうえで「世界銀行やアジア開発銀行(ADB)が実績を積み上げてきた」とし、「AIIBの資本構成がどうなるか明確ではなく、参加を表明した国の金融機関の扱いがどうなるかもわからない」と指摘。アジアのインフラ整備については「国際協力銀行(JBIC)と組んで大きな存在感を示しており、AIIBがどうであれ積極的な役割を果たすべきだし果たしていくことができる」との認識を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕