医学・医療分野で日本最大規模の学会である日本医学会総会が11日、京都市で始まり、主要イベントの学術講演では再生医療分野で活発な議論が相次いだ。
この日の講演では、iPS細胞を使う世界初の臨床研究を始めた理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーが、再生医療の普及にはコストの抑制が不可欠と指摘。「移植細胞や手術のリスクを測る物差しが必要だ」と強調した。
iPS技術と倫理問題などを話し合うシンポジウムでは、ヒトの精子や卵子のもとになる細胞を作る研究で、作った細胞の機能をどう確認するか、臨床応用につなげるには何が必要かを議論した。
総会には企業関係者らも多数参加しており、IT大手ヤフーの川辺健太郎副社長が医療とIT(情報技術)の融合について講演。遺伝子検査やスマートフォンから得たビッグデータ解析による健康管理サービスを紹介した。
この日午前には京都大学の山中伸弥教授が開会講演。iPS細胞研究の現状などを説明し、パーキンソン病を治療する臨床研究で、最初の手術を来年中にも開始する考えを示した。
学術講演は国立京都国際会館などで13日まで開かれる。