何が出てくるか分からないワクワク感が魅力の「盲盒(ブラインドボックス)」が近年、中国で大人気となり、市場の注目を集めている。そして、多くの事業者が業界の垣根を超えてブラインドボックスを打ち出すようになっており、「ブラインドボックス+」というマーケティングスタイルがトレンドとなっている。しかし、同時に、「レアもの」を設置するブラインドボックスも増えており、「ギャンブル性」があるため、過剰消費の原因になり、その問題も注目を集めるようになっている。工人日報が報じた。
ブラインドボックスというのは、ボックスなどの中に異なる商品が入れられており、購入前に開けて中身を確認することはできない。つまり、何が出てくるかは運次第ということになる。近年、そんなワクワク感が魅力のブラインドボックスが人気を集め、特に若者の間で大ヒットとなり、市場の注目を集めている。
2019年以降、「ブラインドボックス経済」が日に日に勢いを増している。統計によると、ブラインドボックスの購入者の多くは18歳から35歳で、その月收は8000元から2万元(1元は約16円)の女性や学生などだ。
専門家は、「若者がブラインドボックスを好むのは、個性や流行、孤独感解消といった商品の付加価値を求めているから。多くのブラインドボックスは、その外観が人々の購買欲を刺激するだけではく、感情的な価値、例えば、孤独感解消、癒し、ハッピーなどに重きを置いているため、若者の心を掴んでいる」と分析している。
2020年は新型コロナの影響で、サラリーマンや学生などのステイホームの時間が多くなったのを背景に、ブラインドボックス経済の成長にさらに拍車がかかった。共同購入のECプラットフォーム・拼多多の統計によると、2020年の「国際子供の日」(6月1日)期間中に人気となった商品トップ10に、ブラインドボックスが入り、2位だった。ダブル11(11月11日のネット通販イベント)のブラインドボックスのオンライン売上高は前年同期比で70%以上増となった。同年12月11日、ブラインドボックスメーカー大手の「POPMART」が香港証券取引に上場した。このように、加熱するブラインドボックス人気に、各界が注目するようになっている。
中国政法大学の陳忠雲教授は、「ブラインドボックスは、新しい文化圈層の一つで、その消費が日に日に拡大するにつれて、多くの人がブラインドボックス文化を一つの文化として受け入れるようになっている。それが、ブラインドボックス経済の成長を大幅に促進させている重要な原因の一つだ」との見方を示す。
多くの事業者が今、業界の垣根を超えて、ブラインドボックスをめぐる競争に参戦している。2020年以降、故宮やマクドナルド、上海ディズニーランドなどを含む、多くの事業者がマーケティングに、ブラインドボックスの概念を導入している。イケアや名創優品(メイソウ)、中国の国宝を紹介するテレビ番組「国家宝藏」、スターバックスなども相次いでブラインドボックスシリーズを打ち出した。
その他、図書ブラインドボックス、コスメブラインドボックス、大学の合格通知書ブラインドボックス、生鮮ブラインドボックスなども登場し、多くの人は、「何でもブラインドボックスに入れることができるんだ」と感じるようになっている。
陳教授は、「ブラインドボックスは現在、単なる一商品ではなくなっている。それは、デザイナーとファンが意思の疎通を図る架け橋となっているほか、ブランドが自社の価値、コンセプトを発信するキャリヤーともなっている。それを通して、自社の価値、コンセプトを発信して、消費者の心を捉えやすくなっていることに疑問の余地はない。また、ブラインドボックスには、デザインのイノベーション、ブランドの文化的影響力なども伝えている。それがトレンドとなり、各ブランドが業界の垣根を超えてブラインドボックスの関連商品を打ち出すことで、『人気のおもちゃ』がより多くの人の視野に入るようになっている」と分析する。
最近、北京のいくつかのショッピングセンターを取材すると、ブラインドボックスは通常、シリーズことに販売されていた。1シリーズで10-12種類あり、その価格は1つ50‐80元、なかには1つ100元近くするものもある。つまり1シリーズ全てを揃えるとなると、レアものを含めないとしても、1000元近くかかることになる。ブラインドボックスの購入は、まだ経済的余裕がそれほどない若者にとっては、「お金がかかる遊び」とまではいかないものの、それなりにお金がかかる遊びだ。その他、「ギャンブル性」というのも、ブラインドボックス経済の特徴となっている。ほとんどのブラインドボックスシリーズには、「超レアもの」があり、それが出てくる確率は非常に低い。そのため、1シリーズを全部集めたいと思っている人にとっては、お金も、エネルギーも必要になることになる。
子供を持つ多くの人は、ブラインドボックス経済が過熱し、未成年者の消費観念に悪影響を与えることを懸念している。業界関係者は、「保護者や教師は未成年者が良好な消費観念を形成し、過剰消費の罠にはまらないよう導かなければならない」と呼びかけている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年1月6日