日本看護協会(東京)は、各地の病院から寄せられた看護内容などに関するデータをグラフ化して、それぞれ閲覧できるシステムを7月に本格稼働させる。参加する病院は、他の同規模施設と比べて看護の質がどのレベルにあるかを客観的に確認できるという。
協会の担当者は「より良い看護を実践するためのツールにしたい」と全国の病院に参加を呼び掛けており、病院や病棟のマネジメント充実を目指す取り組みとして注目される。
協会によると、参加は病棟単位から可能という。データベースには、「労働状況」「医療安全」など8つのカテゴリー内に、「看護師数」「研修時間」など136項目を設置。各病院や病棟が自らの施設のデータを入力すると、項目ごとにグラフや数値が示され、取り組みのレベルが相対的に評価される。
例えば、患者の床ずれについては、年齢別の患者割合や発生率、ケアに関する研修時間などがデータで示され、同規模病院と比較した上で改善策を検討することも可能になる。
同様のサービスを提供する民間業者は既にあるが、登録費用が数十万~数百万円と高額で、結果が出るまでに時間もかかるという。協会のシステムの場合、1~5病棟まで参加する病院は年間4万円、11病棟以上の病院は年間8万円。結果もデータ入力後にすぐ表示される。
2014年度は301病院の約1450病棟が試行事業に参加。認定看護師がいない病院と、2人以上いる病院で、床ずれの発生率に明らかな差があることなどが分かったという。
協会の松月みどり常任理事は「質は努力で上げるものと看護師は思いがちだが、看護の状況が可視化されることで、質と労働環境が密接に関係していることも分かる。病棟の全体的な課題も見えてくる」と話している。〔共同〕