自民、公明両党は14日午前、新たな安全保障法制に関する与党協議会を再開した。政府は国際貢献活動にあたる他国軍を後方支援するために自衛隊を海外に派遣する場合、緊急時には例外的に国会の事後承認とする考えを示した。自民党は容認したが、公明党は例外なく事前承認とするよう主張した。
再開した安全保障法制整備に関する与党協議会であいさつする自民党の高村副総裁(14日、衆院第2議員会館)
与党は27日に予定する日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)前をめどに、法案に盛り込む内容の合意をめざす。政府は5月15日ごろの閣議決定を想定している。
政府は14日の与党協議会で、自衛隊の海外派遣に関して(1)国際法上の正当性(2)国会の関与など民主的な統制(3)隊員の安全確保――をどう法案に反映するかについての考え方を示した。
最大の焦点である国会関与について、政府は後方支援のために新たに制定する恒久法「国際平和支援法」に基づく自衛隊派遣で、国会閉会中や国政選挙中などに緊急に派遣する必要が生じた場合、国会の事後承認を認める方針を提案した。公明党からは「緊急性が高い事案とはどういうことか具体的に示してほしい」などと慎重な意見が相次ぎ、結論を持ち越した。
国際法上の正当性に関しては、自衛隊が国連平和維持活動(PKO)やそれ以外の人道復興支援に参加する際、欧州連合(EU)のような地域的機関や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの要請でも認める案を政府が提示。自公両党は了承した。
離島の不法占拠など、外国からの武力攻撃に至らない「グレーゾーン」事態では、自衛隊の防護対象を限定するための政府統一見解をつくることを確認した。具体的には自衛隊と相互に部隊を運用したり、戦術などの情報を共有したりすることを条件にする。物品役務相互提供協定(ACSA)や情報保護協定を結んでいる米国やオーストラリアを想定している。
政府は集団的自衛権を行使できる事態を「存立危機事態」、日本の平和と安全にかかわる事態を現在の周辺事態に代えて「重要影響事態」とそれぞれ規定するとした。在外邦人の救出にあたって、自衛隊員の安全を確保するための要件を法案に明記する案も示し、自公両党は了承した。