防衛省統合幕僚監部は15日、日本領空に接近した軍用機などに航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)した回数が2014年度に943回だったと発表した。13年度に比べて133回(16%)増え、比較可能な1958年度以降で84年度に次いで2番目に多かった。対象は東シナ海への進出を拡大する中国機が過去最多となり、ロシア機も急増した。
スクランブル回数の増加は6年連続。ロシア機が473回(50%)で、中国機も464回(49%)を占めた。台湾機も1回あった。領空侵犯した事案はなかった。12年度から13年度は中国機が最も多かったが、14年度は3年ぶりにロシア機が最多になった。
ロシア機は13年度から32%増の473回。14年3月のウクライナ危機でロシアと米欧の対立が深まった後、日本周辺を飛ぶ情報収集機や爆撃機の確認が頻繁になった。在日米軍基地の偵察や訓練が目的とみられる。
中国機は12%増の464回で、機種別では戦闘機が多い。東シナ海から太平洋に抜けるルートが目立ち、沖縄本島と宮古島の間を通過するケースも相次いだ。緊急発進ではないが、14年5月と6月には警戒監視中の自衛隊機に中国機が異常接近する事案も起きた。
自衛隊の方面隊別にみると、主に中国軍機に対応する南西航空混成団が468回で最も多い。ロシア軍機などに対処する北部方面隊が286回で続き、中部は102回、西部は87回だった。
東西冷戦期は旧ソ連(現ロシア)の軍用機が日本周辺を活発に飛び、84年度に944回を記録したのがこれまでの最多だ。冷戦終結後はロシア軍の活動が下火になり、04年度には全体で141回まで減ったが、05年度以降は中国が増加、ここに来てロシアも再び増えている。