放射線影響協会(東京)は15日、東京電力福島第1原発事故に伴う国直轄の除染作業に、2013年までに従事した約2万6千人の被ばく線量の集計結果を発表した。最大値は12年までで13.9ミリシーベルトだった50代後半の男性。全体平均は年間0.5ミリシーベルト程度だった。
集計結果の公表は初めて。厚生労働省は除染作業員の被ばく線量上限を「1年間で50ミリシーベルトかつ5年間で100ミリシーベルト」と定めており、「全体を見ると、通常の原発作業員の年間平均被ばく線量の半分程度で、被ばくの限度も守られている」としている。
事故後から12年までの被ばく線量の最大値が男性13.9ミリシーベルト、女性1.4ミリシーベルトだったのに対し、13年の1年間では男性6.7ミリシーベルト、女性2.9ミリシーベルトだった。
国は第1原発周辺の11市町村を「除染特別地域」に指定し、直轄で除染を進めている。協会は、この地域での除染に従事した作業員が所属する業者から線量の数値を集計した。個別の従事場所や時間、健康状況は分からないとしている。
協会によると、事故後の11~12年に、第1原発に近い地域で除染モデル事業が実施されており、この時期に除染に従事した作業員は、被ばく線量の数値が大きい傾向があったという。
除染は特別地域以外でも各市町村が実施しているが、今回の集計には含まれていない。〔共同〕