政府は20日、2018年のユネスコ(国連教育科学文化機関)世界遺産登録に向け、文化遺産の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本両県)と、自然遺産の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)の推薦を閣議了解した。正式な推薦書を来月1日までにユネスコに提出する。
「潜伏キリシタン」は、「大浦天主堂」(長崎市)など長崎、熊本両県8市町の12資産で構成。政府は、15年にこれらの資産を含む「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」をユネスコに推薦したが、「禁教の歴史の特殊性」に焦点を当てるべきだとユネスコの諮問機関から提案され、推薦を取り下げた。禁教期と直接関係の少ない資産を除外し、名称も変更して、改めて世界文化遺産登録を目指す。
現在、国内の世界文化遺産は16件。今年7月にポーランドである世界遺産委員会では、「『神宿る島』宗像(むなかた)・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県)が審議される。
「奄美大島――」は、大陸から分離して、島々が形成される中で生まれた、アマミノクロウサギやイリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナといった固有の生物など、貴重な生態系が含まれる。名称は、従来「奄美・琉球」としてきたが、ユネスコから範囲をより正確に表すようにとの指摘があり、変更した。
国内の世界自然遺産は現在、「知床」(北海道)、「白神山地」(青森、秋田両県)、「小笠原諸島」(東京都)、「屋久島」(鹿児島県)の4件ある。(藤井裕介、小坪遊)