大島理森衆院議長は21日、国会内で就任記者会見を開き、議長の諮問機関である有識者調査会で議論中の衆院選挙制度改革に関して「最後は国会で結論を出さなければならない」と述べた。結論を出す時期については「今年中に、との目標を持つことが大事だ」との考えを示した。
「1票の格差」是正などに関する衆院選挙制度改革は、有識者による調査会が8日までに全政党からの意見聴取を終え、5月の大型連休明けから答申の取りまとめに向けた作業に入る。大島氏は「各党がある程度理解できる現実的な答申をつくってくれる」と期待感を示した。
議長就任については「少数意見をしっかり受け止めながら議論できる環境をつくることが大事だ」と国会運営の抱負を表明。安全保障法制などを巡る与野党の対立を念頭に「議論することだけが国会の役割ではない。結論を出すことも立法府の責任だ」と力を込めた。
安倍晋三首相が意欲を示す憲法改正については「首相が憲法の問題について発言してはならないということはない」と指摘。そのうえで「各党間の理解なしには何事もできない。憲法審査会で各党の協議を粘り強くしていくことが基本だ」と語った。
大島氏は21日の衆院本会議で、体調不良で辞任した町村信孝氏の後任議長に選出された。大島氏の後任の予算委員長には河村建夫元官房長官が就いた。
▼衆院選挙制度改革 議員定数の削減と「1票の格差」の抜本是正を巡る改革。与野党による協議がなかなかまとまらず、2014年9月に当時の伊吹文明議長が有識者による調査会を発足させ、佐々木毅元東大学長が座長を務めている。調査会は1票の格差是正に向けて新たな議席配分方式の導入を検討。「9増9減」とする案が取り沙汰されている。