日本記者クラブで会見したオランダのアルト・ヤコビ大使(左)、ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン独大使(中央)、ティエリー・ダナ仏大使=17日、東京都内、玉川透撮影
欧州統合の原点となったローマ条約が今月25日に締結60周年を迎えるのを前に、中核となったオランダ、ドイツ、フランスの駐日大使が17日、東京都内の日本記者クラブで会見した。反欧州連合(EU)や反移民を掲げる右翼政党が躍進したオランダ総選挙について、各大使は「統合の恩恵を実感できない不満が底流にある」と分析。続く仏独の国政選挙でも右翼勢力の伸長を懸念し、EU改革が必要だと訴えた。
会見したのは、オランダのアルト・ヤコビ大使、ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン独大使、ティエリー・ダナ仏大使。
15日のオランダ総選挙では、ウィルダース党首率いる右翼・自由党(PVV)が第1党には届かなかったものの、議席を上積みして第2党に躍り出た。
ヤコビ大使は「国民のかなりの意見が反映されており、政治的に無視できない存在となった」と指摘。その上で、「オランダは豊かな国だ。それにもかかわらず、不満が底流に流れている。原因を一つに特定するのは難しい」と語った。
今年行われる仏大統領選や独総選挙でも、反移民や反EUなど分かりやすい解決策を主張する右翼ポピュリズムが勢いを増す。フランスのダナ大使は「知識不足が原因の一つ。EUは複雑な問題ばかり議論する機関になり、一般市民が自分たちの日常生活にどんな利益があるか実感できない。一部の政治家が、その不満を利用してEU批判を繰り返している」と述べた。
EU内では、一部の国が先行し…