国が米空母艦載機の発着訓練(FCLP)の移転候補地としている無人島「馬毛(まげ)島」を抱える鹿児島県西之表市長選の再選挙が19日、投開票された。移転反対を訴えた元新聞記者の八板俊輔氏(63)=無新=が、元市議の浜上幸十氏(66)、同榎元一已氏(63)、同小倉伸一氏(64)=いずれも無新=の3人を破って初当選した。投票率71・65%。
市長選は、FCLPの移転に反対してきた長野力・前市長が勇退し、1月下旬に新顔6人が立候補して投開票された。しかし、法定得票(有効投票総数の4分の1)に達した候補者がおらず、再選挙となった。
再選挙には、FCLP移転に賛成する1人、反対する3人が出馬して論戦を展開。当選を決めた八板氏は「馬毛島は観光、漁業の貴重な資源として活用していく」と述べ、FCLPの移転反対を改めて訴えた。「交付金などで新たな財源ができ、様々な事業に活用できる」などと訴えた賛成派の候補らを退けた。
馬毛島へのFCLPの移転は、硫黄島(東京都)に代わる場所として2011年の日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の合意文書に明記。防衛省は昨年、島のほぼ全域を所有する開発会社との間で、双方が不動産価格を鑑定した上で交渉する内容の覚書を締結し、島の買い取りに動き出している。(島崎周)