静岡市駿河区の久能山東照宮は22日、徳川家康が10代のころに着用したとされる金色の甲冑(かっちゅう)「金陀美具足」の修理を始めた。東京国立博物館に運び入れ、約1年かけてほころびた糸を取り換える。表面の漆や金箔を修復した後、久能山東照宮博物館での展示公開を目指す。
22日午前、東照宮の職員ら約10人が、事前に分解して収蔵庫に保管していた甲冑を部品ごとに布で丁寧に包み、運び出す作業を進めた。
金陀美具足は国の重要文化財。織田信長が今川義元を討った「桶狭間の戦い」(1560年)の前哨戦で、当時19歳の家康が身に着け勝利したとされる。
江戸時代には江戸城内で、明治時代以降は久能山東照宮博物館で保管してきたが、傷みが激しく展示できなかった。
推定身長159センチだった家康に合わせて作られ、重さ約11.7キロ。落合偉洲宮司は「甲冑には当時最高の技術が使われている。しっかり修理することで、50年後、100年後の人たちに残していきたい」と話した。
久能山には遺言に基づき家康が埋葬され、その後、家康を祭る東照宮が創建された。