【ソウル=小倉健太郎】米韓両政府は22日、ソウルで改定された米韓原子力協定に仮署名した。韓国が求めてきた使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮を米韓による協議対象と位置づけ、一定の道を開いた。米国は核拡散防止の観点から韓国の要求に否定的な立場をとってきた。一方で日本に対しては特別に再処理を認めてきたことから、今回は韓国にも配慮した格好だ。 「核燃料の再処理、燃料の安定供給、原発輸出の円滑化に向けた制度的基盤を確保した」。韓国外務省の趙太庸(チョ・テヨン)第1次官は22日、今回の協定をこう評価した。1973年に発効した現行協定は韓国によるウラン濃縮などを事実上禁じている。 核燃料再処理についてはその都度、米国の同意を得れば研究所で実施できたが、今後は個別同意が不要になる。ただ、場所は既存の研究所に限定される。対象工程も一部だけだ。さらに進んだ研究をするには、新設する次官級の常設協議体にはかる必要がある。 ウラン濃縮も「将来、条件が整えば」という前提付きで、濃縮度が20%未満までは常設協議体で議論するとした。一方、米国産の原発部品などを韓国が第三国に輸出する際、その都度米国の同意を得る必要がなくなった。改定協定は両国国会などの批准を経て2016年3月までの発効を目指す。効力は20年だ。 原子力発電所では、ウランを原料とする核燃料を原子炉に入れて核分裂などの反応を起こす。その過程で核兵器の原料にもなるプルトニウムが発生する。使い終えた核燃料からプルトニウムを取り出せば、再び原発で利用できる。これが再処理だ。 核兵器を持たない国の中で、米国との協定に基づいて再処理を特権的に認められてきたのが日本だった。プルトニウムを再利用できればエネルギー自給率の向上につながる。資源を持たない日本が再処理を志すのはこのためだ。 ただ、日本はここ数年、厳しい目を向けられてきた。プルトニウムを燃やす高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)は1995年のナトリウム漏れ事故などのトラブルでほとんど運転実績がなく、軽水炉と呼ぶ一般的な原発で利用するプルサーマル発電も東京電力福島第1原発事故の影響で停止状態が続く。日本が保有するプルトニウムは40トンを超え、数千発の核兵器をつくることも可能とされる。 日本も2018年に米国との原子力協定の期限を迎える。米国は韓国に対して一定の配慮を示したとみられるが、日本政府内からは「米国がプルトニウムの取り扱いに甘くなるとは考えにくい」との声も出る。日本は再処理の政策を継続する考えだが、米国がどう対応するかは不透明だ。 |
韓国、核燃料再処理に道 米との改定原子力協定に仮署名
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