政府の地震調査委員会(委員長・本蔵義守東京工業大名誉教授)は24日、活断層が起こす地震の発生確率を地域別に評価し、関東地方を中心とする地域の結果を公表した。今後30年以内にマグニチュード(M)6.8以上がどこかで発生する確率は50~60%と推測した。全域を6区域に分けると、東京都心を含む区域は1~3%、甲府市や神奈川西部がある区域は15~20%などとなった。
地域別に活断層の地震確率を公表するのは、2013年の九州に次いで2例目。M7程度の地震が30年内に70%の確率で発生するとされる首都直下地震は地下深くにあるプレート(岩板)の境界部などで起こる大地震を想定しており、今回は地表に近く発生すると大きな被害をもたらす恐れがある活断層型を対象にした。
政府はこれまで長さ20キロメートル以上の全国110の主な活断層ごとに地震の発生確率を公表してきた。1つの活断層がずれるには1000~1万年はかかり、30年以内の発生確率は、ほぼゼロから十数%。海底のプレートで起きる南海トラフ地震(70%程度)などに比べて極めて低い。
一方で主な活断層以外でも地震が発生しているため、新たな評価では長さ10キロ以上の断層まで対象を拡大し、広い範囲のどこかで地震が起きる確率を見積もった。
関東全域では15の主な活断層に短い断層や地下に埋もれた断層を加えた計24の活断層が新たに評価対象となった。
地質の構造から6区域に分けて、それぞれで地震発生確率を算出したところ、関東北部(宇都宮市や水戸市など)は4~5%、北西部(長野市など)は2~3%、中央部(さいたま市、都心、千葉市、前橋市など)は1~3%となった。南部(甲府市など)は15~20%、伊豆半島は2~3%、長野から山梨にかけて通る活断層「糸魚川―静岡構造線断層帯」周辺は30~40%だった。
地域別の評価は活断層地震への危機意識を高めてもらう狙いがある。本蔵委員長は「どこで地震が起きてもおかしくない。結果を各地域での防災対策に反映させてもらいたい」と話す。
ただ関東全域では50~60%の数字でも、6区域ごとで確率には大きな開きがある。6区域のうち4区域が5%以下であることから「糸魚川―静岡構造線断層帯」周辺が数字を押し上げた格好だ。自治体や企業は出される数字を適切に見極めて、対策を進める必要がある。