【ニューヨーク=高橋里奈】ケリー米国務長官は27日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議で演説し「オバマ大統領が退役した核弾頭の削減ペースを20%加速する方針を決めた」と表明した。米国は「核兵器なき世界」の実現に向けて「真剣だ」と繰り返し強調し、ロシアにもさらなる核軍縮を求めた。
NPT会議は核軍縮、不拡散、原子力の平和利用について約190の加盟国が5年に1度集まり、運用状況を見直す。ケリー国務長官は米国が「2014年9月時点で東西冷戦時代のピークから85%の核兵器を削減し、4717発まで減らした」と実績を強調。国家戦略として核兵器の削減を進めると主張し、非保有国から核兵器の削減が進んでいないと不満が高まっていることに対して理解を求めた。
「米ロが世界の核兵器の9割以上を保有している」と述べ、両国がさらなる軍縮で共同歩調をとるべきだと示唆。米ロの新戦略兵器削減条約(START)の水準から配備済みの戦略核弾頭をさらに3分の1減らす米国の提案について「まだテーブルに載っている」とロシアに呼びかけた。
だがその後に演説したロシアのリャブコフ外務次官は「我々が拒否しているのではなく、米国がミサイル防衛システムなどの構築によって世界の安全を壊している」と反発した。
また、イランのザリフ外相は原子力の平和利用に関連し、「核物質や核技術、設備の輸出を含め規制すべきでない」と主張、核開発の制限強化をけん制した。また「核兵器を持つイスラエルが周辺国への深刻かつ継続的な脅威になっている」とし、イスラエルがNPTに加盟すべきだと強調した。