【ワシントン=岩本昌子】4月29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明は次の通り。
前回3月のFOMC会合後に得た情報によると、米経済成長は一時的要因の影響もあり、冬の間に減速した。雇用数の増加ペースは穏やかになり、失業率は横ばいとなっている。様々な労働市場関連の指標は、労働資源の未活用の状況はほとんど変化がないこと示している。家計支出の伸びは低下したが、先ごろのエネルギー価格の低下が一因で、家計の実質収入は堅調に拡大し、消費者の楽観度も高水準を維持している。民間設備投資は弱まり、住宅市場の回復は依然として遅く、輸出も減少した。
物価上昇率は先ごろのエネルギー価格の低下とエネルギー以外の輸入価格の低下の影響もあり、FOMCの長期目標を下回る水準で推移している。市場で測定したインフレ値は低水準にとどまっているが、アンケート調査による測定では長期のインフレ予想は安定した状態を維持している。
法律で定められた使命を達成するため、FOMCは雇用の最大化と物価安定の促進に努める。生産高と雇用の伸びは1~3月期に減速したが、FOMCは適切な金融緩和政策によって経済は穏やかなペースで拡大し、労働市場関連の指標はFOMCの二大使命と整合的な状態に向かって動き続けていくと引き続き予想している。景気見通しと労働情勢に対するリスクはほぼ安定した状態にあると引き続き判断している。短期的には物価上昇率は現在の低い水準にとどまるが、中期的には雇用情勢がさらに改善し、エネルギー価格や輸入価格の低下による一時的な影響が消えていくとともに、物価上昇率も次第に2%に向かって上昇していくと予測している。FOMCは物価の動向を注意深く観察し続けていく。
FOMCは29日、雇用の最大化と物価の安定にむけて続いている改善の状態を後押しするためには、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現在の0.0~0.25%で維持するのが適切であると再確認した。この金利を維持する期間の決定にあたっては、雇用の最大化と物価上昇率2%という目標に向けた現在の前進ぶりと今後の改善予測の両方を評価していく。労働市場の情勢を示す指標や、インフレ圧力やインフレ期待の指標、金融市場の状態や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮して判断していく。労働市場がさらに改善し、物価も中期的には目標の2%に向かって戻っていくと合理的に確信できた時、政策金利の誘導目標を引き上げるのが適当になると予想している。
米機関債と住宅ローン担保証券の償還した元本を住宅ローン担保証券に再投資し、保有国債の償還金を入札で再投資する既存の政策は維持する。FRBが非常に大きな額の長期証券を保有し続けるこの政策は、金融緩和状態を維持するのに役立つはずだ。
FOMCが金融引き締めを始めると決定したときは、雇用の最大化と物価上昇率2%の2つの長期目標と一致するバランスのとれた方策を実施していく。今のところは、失業率や物価上昇率がFRBの二大使命と整合する水準近辺に収まった後でも、経済情勢によってはある程度の期間、FF金利の誘導目標をFOMCが長期的に通常とみる水準以下に維持することが正当化される可能性もある。
決定はイエレン議長及びダドリー副議長を含む10人のメンバーの全員の賛成による。