【ワシントン=芦塚智子】安倍晋三首相は米議会演説で、先の大戦に言及した部分で「remorse」「repentance」という2つの英語表現を使い分けた。
日本政府は「remorse」を「反省」、「repentance」を「悔悟」と訳している。いずれも「regret(後悔、遺憾)」よりも語感が強く、米国人は謝罪のニュアンスを感じることが多い表現だ。
首相はアジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議で行った演説と同様、先の大戦に触れた部分で「deep remorse」という表現を使った。「remorse」は、「深い悔恨」「自責の念」といった意味がある。
1995年、当時の村山富市首相が過去の植民地支配と侵略を謝罪した戦後50年談話を発表。この談話にある「痛切な反省」や「深い反省」の英訳はいずれも「deep remorse」だった。
真珠湾攻撃や、旧日本軍がフィリピンで米兵捕虜らを歩かせ多数が死亡したとされる「バターン死の行進」などに触れた際には「deep repentance」という言葉を選んでいる。「repentance」は「悔い改め」などと訳されることが多い。宗教上では「神へのざんげ」にも使われ、過去の非を悔い、行いを改めるという意味を持つ。