【ニューヨーク=高橋里奈】日本政府は5日、ニューヨークで拉致問題など北朝鮮による人権侵害についての国際シンポジウムを開催した。拉致被害者の横田めぐみさんの弟の拓也さんや、山谷えり子拉致問題相らが出席。拓也さんは「北朝鮮を絶対に許すことはできない。今こそ国際社会が動くべきだ」と訴えた。山谷氏は北朝鮮の拉致について「人権侵害のみならず国家主権の重大な侵害でもあり、テロにも等しい行為」と非難した。
シンポジウムは国連本部にほど近いホテルで開催され、各国の外交官ら約100人が参加した。北朝鮮国連代表部の関係者の姿はなかった。
拉致被害者の可能性がある山本美保さんの妹の森本美砂さんは「拉致された可能性がぬぐえない人は881人にのぼる」と述べ「北朝鮮は言い訳をして帰そうとしない」と涙ながらに訴えた。
脱北者もパネリストとして出席し、政治犯の強制収容所や公開処刑の様子を紹介。「国際人権団体による査察が求められる」と語気を強めた。
山谷氏は終了後の会見で「これまでになく国連や国際社会で北朝鮮の人権問題や拉致問題の解決を求める機運が高まっている」と指摘。今後も国際社会で「拉致問題の悲惨さ、残酷さ、深刻さを伝え、被害者全員の救出に努めたい」と語った。