政府は15日午前、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案を衆院に提出した。これを受けて与野党の国会対策委員長が国会内で会談。与党側は安保法制に関する特別委員会を19日に設置し、21日の本会議で審議入りする日程を改めて提案する。民主党は「法案を精査する時間が必要」として難色を示しており、日程調整で衝突している。
関連法案は自衛隊法や武力攻撃事態法など10法の改正案を束ねた「平和安全法制整備法案」と、国際紛争に対処する他国軍の支援のために自衛隊の海外派遣を随時可能にする新たな恒久法「国際平和支援法案」の2本立て。
集団的自衛権の行使については(1)日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどめる――の3要件を盛り込み一定の歯止めをかける。
朝鮮半島有事を想定した周辺事態法は「重要影響事態法」に改称。事実上、日本周辺に限定されていた自衛隊の活動範囲の地理的制約を外す。米国以外の軍も支援可能になる。
自衛隊法改正案には平時に日本防衛のために活動する米艦を自衛隊が防護できる規定を盛り込んだ。国連平和維持活動(PKO)協力法改正案では武器使用基準を緩和し、他国部隊に対する「駆けつけ警護」を認める。安倍晋三首相は14日の記者会見で「世界の平和と安定にこれまで以上に貢献していく」と強調した。